2016年8月23日火曜日

週刊新潮2016年8月25日号の記事について

「週刊新潮」2016年8月25日秋風月特大号に「SMAP解散の魑魅魍魎」という記事が掲載された。記事は「総力取材!特集」と銘打っている。しかしこの記事にはいくつかの疑問点がある。以下それらの疑問点について検証してみたい。

ジャニー喜多川氏分身の術の謎
記事ではある「芸能関係者」が何月何日にこういう事があったと非常に詳細な時系列を述べており、それゆえこの記事は大変信憑性があるもののように見えるのだが、その中に次のような記述がある。


そして翌日午後4時、蓋を開けてみるとジャニー氏の元に木村以外の4人がやってきて1時間半近く面談。(p.25)


この「翌日」は2016年8月10日のことである。しかしこの日はジャニーズグループ、ABC-Zのコンサートが国立代々木競技場第一体育館で開催されており、ジャニー氏はこのコンサートを見に来ていた事が、当日コンサートに参加していた複数のファンによってその日のうちにTwitterで呟かれていた。ある呟きによると、ジャニー氏は開演3分ぐらい前に会場に入ってきたという。開演時間は17時であり、開演が若干遅れたという話もあるが、やはり17時ごろにはジャニー氏は代々木体育館にいたと見て問題ないだろう。とすると「16時から1時間半近く」メンバーと面談したというジャニー氏は一体誰だったのか?

この8月10日のジャニー氏との面談で4人が「解散」を申し入れたとの報道は新潮以外のメディアでも一貫している。どれも情報ソースが事務所である(SMAPから提供されたのでない限り、もう一方の当事者である事務所しかこの情報は提供できない)からであろうが、これまで「休業」でまとまっていたものを4人がいきなり「解散」を言い出したとされている。しかしもしそうであれば、ジャニー氏はじめ事務所側は驚き、説得にそれなりの時間を費やすのではないだろうか。「解散」ともなればジャニーズ事務所の経済的損失は計り知れない。もし16時からのジャニー氏との面談で「解散」が決まったのであれば、その面談は1時間以下であったことになる。そのような短時間で事務所にとってもこれほどの大事が決まるものだろうか?

スマスマ観覧客の謎
また記事では木村と4人の仲が険悪だったという例として、1月18日の公開謝罪の3日後に行われたスマスマ収録を挙げ、この時の5人の雰囲気が大変悪かったとしている。


メンバー全員が揃って歌うシーンを収録した時のことです。(中略)ところが、稲垣や草なぎ達は完全に無視していた。キムタク以外の4人は皆、顔がこわばっているというか、死んだ魚の眼をしているというか……。さすがに観客たちもドン引きしていました」(フジテレビ関係者)(p.26)

しかし、実はスマスマの歌収録にはもともと観客は入っていない(例外としてライブ形式の演出の場合は観客が入るが、この日の歌収録は5人で歌ったサザンの「涙のキッス」と桐谷健太と歌った「海の声」であり、5人がしっとりと歌い上げるという演出であった)。毎週スマスマの収録現場の取材を行っているTVガイド誌すらこの日は取材に入れず、フジテレビからメディア各社に提供された1枚の写真を掲載したのみである。この「フジテレビ関係者」が見た「観客たち」は存在したのだろうか?

なお、この収録翌日の新聞報道では、「収録は和やかに行われた」「リハーサルでは、いきなり草なぎ剛(41)が奏でたギターのチューニングがずれていたため、メンバーもスタッフも爆笑。一気に和やかなムードになった」「収録は終始穏やかな雰囲気だったという」となっていた。(2016年1月22日付ニッカンスポーツ) 

「自暴自棄」な香取?
記事の中では、「スポーツ紙の芸能デスク」がメンバーの中では香取が今後最も心配だとして以下のように述べている。


「独立騒動で一番ショックを受け、とにかくやる気を失くしています。最近も周囲に芸能界に未練はない、という趣旨の発言をし、自暴自棄になっている(後略)」 p.28)


この「香取がやる気を失くしている」説は、ジャニーズ事務所から情報提供を受けていると思われるメディアには共通した論調である。今回の解散報道では基本的に香取が「戦犯」とされており、SMAPどころか芸能活動自体を続ける気力をなくしているとされている。

しかし、8月20日に生放送された香取のレギュラー番組「SmaStation!!」では、ゲストの東山紀之に対し「3度目も来て下さい、休みません」とコメントしている。これは11年前に東山が同番組に初出演した際、香取はインフルエンザで番組を休んだという経緯を踏まえてのコメントであるが、東山が3度目のゲスト出演するまで番組を続けようという香取の意思を示したコメントでもあると言えよう。芸能活動を続ける気力をなくしている人間が、わざわざこのような発言をオンエアでするだろうか?

なお、SmaStation!!では毎回放送終了後に香取やゲストのコメントを載せた「SmaTIMES」という新聞を発行しているが、そのトップには毎回香取がその回について語った一言が掲載されている。東山ゲストの回のそれは「3度目もお待ちしております!ありがとうございました!」であった。

以上、「週刊新潮」の記事に対する疑問点を検証してみた。この記事にどれぐらいの真実が含まれているかはわからない。しかし「総力特集」を謳っておきながら、少し調べればすぐにわかる矛盾が複数記事に含まれていることから、この記事が100%真実であるとはとても言えないのではないだろうか。

2 件のコメント:

  1. 記事を読ませて頂きました。
    丁寧な検証をどうもありがとうございます。
    毎日出てくるイヤな話に正直気持ちが萎えています。
    日本のメディアには絶望すら感じます。

    ところで新潮社の考える人の編集長河野さんのメールマガジンが奇しくも真実を問い続ける事、でした。
    この方にメールでもお手紙でも送ったみるのはいかがでしょうか。
    私はお手紙書いてみようかと思っています。

    http://kangaeruhito.jp/articles/-/1779

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  2. 記事を書くなら、事務所のものを一方的に一般の人が受け取ることのない配慮をするべきなのがマスコミでは?個人をいじめてはいけないのではないでしょうか?

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